Nelson Hiking:Rocks Hut編 其の伍
日が落ちるのを見届けてから、寒くなってもきたのでHutへ戻った。
Hutにいた他の二人は一緒に夕暮れを見に行ったらしく、まだそこに二人はいなかった。
寝る準備をしている時に二人は戻ってきた。
食事の時から感じていたこと。
母国語が英語か否かということの違いについて。
二人とも母国語が英語だから、出身国が違くても普通に会話できている。
昔は、それこそ一年前にHutに泊まった時には、その違いによって疎外感を感じていた。
でも、今回は以前ほどそういう感覚は無かった。
言葉が通じるなら話したくなるのは当然だと思ったし。
むしろ、拙い僕の英語を理解しようとしてくれていた事に感謝した。
そして、英語が母国語でない事に対して、悲観的な気持ちも全く無い。
なぜなら、日本語の良さをよく分かるようになってきたから。
そして、僕らと同じように母国語が英語では無いけれど、英語を学んでいる人たちとの、
ちょっとした”繋がり”のようなものも感じることができるようになってきたから。
誰であっても、言葉が十分に通じて意思疎通ができることは、ストレスが無い。
そして、気持ちを言葉で伝えられることは、安心にもつながると思う。
ただ一方で、NZに来て、国際結婚をしている人と出会うことが少なく無い。
「なぜだろう?言葉が通じないと絶対ストレスになる」
そう思っていた。
でも、最近はその考えも少し変わってきた。言葉以外の何かがあるのかも、と思うようになったから。
でも、それが何かというのは、まだ分からないし、もちろん言語化できない。
めちゃくちゃ脱線した(笑)
話を戻すと、僕が寝る準備をしている間、二人は何か話していた。
意識をそちらに向けていなかった事もあって、話の内容の詳細は分からなかった。
ただ、夕食時に話をした時、この先どうNZで過ごすか迷いがあったようだから、そのことを話していた気もする。
しばらくして彼らも寝る準備をし始めた。
僕は久しぶりのHutだからか、腰の調子がイマイチだからか、すぐに寝付けなかった。
外の風がだんだん強くなってきていて、外でテントを張っていた青年のことが、ふと心配になった。
1時間後くらい経ったら寝落ちていたと思うけど、この夜は寝れていたのかどうかよく分からず、「ぐっすり寝た」という感覚は無かった。
【2日目】
朝方目が覚めて時計を見ると4時半だった。
それからしばらく寝袋の中で横になっていた。
少し外が明るくなってきて、時間が6時を回った頃に、朝日を見ようと思い外に出た。
外は曇っていた。
昨晩強かった風も、だいぶ弱くなっていたので「大丈夫そう」と思い、そのままLook Pointへ向かった。
夕陽が落ちるのはLook Point(そこは山の頂上だった)から見るのが良かったけど、朝日は逆方向なのでそこまで行かなくてもいいなと思った。
なので、頂上へ行く前の場所で、朝日が見えそうなところに座った。
曇っていたので朝日は見えなかったけれど、雲と山の隙間から太陽の光が見え、それがとても綺麗だった。
朝日の光を見つつ、しばらく瞑想をした。
何も聞こえなかった。
時々鳥の声と風の音が聞こえるだけ。
そして瞑想したあと「朝の山を歩きたい」と思い、できるだけ早く出発しようとHutへ戻った。
朝にコーヒーを飲もうと思っていたけれど、それよりも「歩きたい」の気持ちが先行した。
なので、Hutへ戻ると出発の準備をして、コーヒーは淹れずに軽く朝食を食べた。
食事をしてからすぐにHutを出発した。
食事前に、起きてきた女の子を水汲み場で挨拶を交わしたけれど、僕が食事中には寝床へ戻っていた。
そして、出発時に寝ているかどうか分からなかったから、「Good Bye」と言うか迷ったけど、何も言わずに外に出た。
外に出ると、青年がテントをたたみ始めていたので、彼とも挨拶をした。
「Good Walk」と言ってくれたので「You, too」と返した。
目的地のThe Brook Streetまでは5時間半くらい。
のんびり行こう、と思いながら歩き始めた。
其の陸へつづく